オウンドメディア戦略の事例から見る成功のための目的設定

オウンドメディアの戦略を決めるには、目的を先に決定する必要があります。つまり、何のためにオウンドメディアを運用するのかをベースにして、戦略が決定されるということです。成功しているオウンドメディアは、目的がはっきりとしており、それに合わせたコンテンツ制作を行ない、情報を発信しています。オウンドメディア運用に実績のあるメディファンドが、成功事例から戦略と目的を解説します。

参考オウンドメディアとは

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オウンドメディア戦略の成功事例

オウンドメディアと一口に言っても、その目標は企業によって異なります。例えば、すぐに想定できるのは新規顧客の獲得ですが、それ以外にも既存顧客との交流であったり、自社の価値観に適合した人材の採用であったりさまざまな目的でオウンドメディアは活用されます。
代表的なオウンドメディアの成功事例と紹介されるWebサイトおよびその目的をまとめると次のようになります。それぞれの特徴について説明します。

  • サイボウズ式|知名度向上に特化
  • Hugkum(ハグクム):ユーザーの信頼度を上げる
  • アマノ食堂|顧客のエンゲージメント向上
  • Lidea(リディア)|商品開発・販売のヒント
  • メルカン|採用ブランディング
  • 北欧、暮らしの道具店|ECサイト一体型

サイボウズ式|知名度向上に特化

サイボウズ式のWebサイト
サイボウズ式はChatworkやkintoneなどのグループウェア開発・提供を行っている企業が運営しているオウンドメディアです。オウンドメディアといっても、自社の製品やサービスについてはほとんど紹介せずにサイボウズの「チームワーク」「働き方」「多様性」などに対する価値観を外部に伝えることを目的にしています。
メディアを運用する際は通常アクセス数やPVなどのKPIを設定しますが、あえてサイボウズ式ではKPIを追求せずに自社の価値観に則った記事を公開しています。
とはいえ、月間PV数は平均20万PV以上あり、過去にはFadebookで1万いいね以上を集めた記事もあります。
サイボウズの企業としての知名度及びイメージの向上に貢献しているメディアだと言えます。

Hugkum(ハグクム)|ユーザーの信頼度を上げる

HugKumのWebサイト
Hugkumは出版社の小学館が運営するオウンドメディアで、幼児から小学校低学年のお子様がいる保護者を対象にしたメディアで、「パパママの教養」「学ぶ」「自由研究」「健康」「遊ぶ」「食べる」「ファッション・美容」「おでかけ・旅行」などの多様なテーマの記事を公開しています。月間総PV数は1,100万PV以上、月間総UU数は600万UU以上を誇っています。
子育てに悩むユーザーに役立つ情報を提供することを大切にしており、商品を紹介する場合も自社の商品だけではなく他社の商品も含めて良い商品をセレクトして紹介しています。自社の販促ではなくユーザー利益を重視する姿勢を示すことにより会社に対するユーザーの信頼度向上の効果が期待できます。

アマノ食堂|顧客のエンゲージメント向上

アマノ食堂のWebサイト
アマノ食堂はアサヒグループ食品が運営している食に関するオウンドメディアです。「おいしい食・人・暮らしのあれこれが集まる場所」をコンセプトに料理に関するレシピ集、料理人のコラム・対談、食材や調理方法に関する豆知識などが掲載されています。
月間100万PV以上を誇るメディアで、ターゲットとなる30代前後の女性の取り込みに成功ています。アマノ食堂ではメディアで自社商品以外にもついても積極的に紹介しながら、コンバージョンの1つとして自社のフリーズドライのお試しセットの申し込みを設定しています。これはメディアを通じて顧客のエンゲージメントを向上させ、最終的にお試しセットからマネタイズしようとしているのだと考えられます。

Lidea(リディア)|商品開発・販売のヒント

LideaのWebサイト
歯磨き粉や洗剤などの日用品メーカーのライオンが運営している「Lidea(リディア)」というオウンドメディアは商品開発・販売のヒントを獲得するためのオウンドメディア事例として挙げられます。
リディアでは商品を使って日常生活のちょっとした悩み事を解決する課題解決型のコンテンツが豊富に用意されています。
これからのコンテンツに対するユーザーのメディア内の行動を分析することにより消費者動向のインサイトをつかみ、営業担当が販売店舗への商品提案に役立てたり、製品の売り上げアップに活用したりしています。
ライオンのように主に販売店経由で商品を販売する形態をとっている企業の場合、メディアで直接売上アップを狙うのではなく、メディアでデータを収集して、そのデータを間接的に販売に役立てるといった手法も有効です。

メルカン|採用ブランディング

メルカンのWebサイト
メルカンはフリマアプリのメルカリが運営している採用のためのオウンドメディアです。メルカン内では社内の様子や雰囲気、仕事内容などがわかるコンテンツが豊富に用意されています。
オウンドメディアは売上アップや認知度向上といったフロントオフィス側の役割だけではなく、採用・人事といったバックオフィス側にとっても有効な武器となりえます。
採用のためのオウンドメディアを運営することにより、応募者の母集団を増やす、入社後のミスマッチを防ぐなどの効果が期待できます。

北欧、暮らしの道具店|ECサイト一体型

北欧、暮らしの道具店のWebサイト
オウンドメディアの成功事例としてよく語られるのが「北欧、暮らしの道具店」というメディアです。北欧テイストの雑貨を取り扱っているクラシコムという通販会社が運営しているメディアで、ECサイトとメディアが一体型になっているという特徴があります。
オウンドメディアと共にSNSも運営しており、新商品の情報や生活に役立つ知識・コラムを配信して多くのファンを集めています。
通販サイトの場合、店舗のように接客ができず、Amazonのように型番商品を中心に販売していると価格競争に陥りがちなので、いかに商品の魅力を伝え価格以外で勝負するのかは重要なポイントとなります。
「北欧、暮らしの道具店」にはこのようなメディアを使ったECの販促に関するヒントが数多く含まれています。

オウンドメディア戦略を立てる前に目的を考える

オウンドメディアは無目的で運営しても成果をあげられません。メディアの運営・構築の前提として、目的を考えなければなりません。目的によって設定すべきKPIは異なりますし、必ずしもアクセス数やPVなどの指標にこだわるべきではないケースもあります。メディアの運営目的は大別すると「知名度の向上」「ブランディング」「新規ユーザーの確保」「商品開発・販売のヒント」の4種類に分類できます。
参考オウンドメディアのコンセプト設計方法-情報収集段階のユーザーニーズに応える-

参考WebマーケティングにおけるKPI設定方法と成約までの目標指標事例

参考ゼロから立ち上げるオウンドメディアの作り方マニュアル

知名度の向上が目的の場合

製品やサービスの知名度向上のためにオウンドメディアを活用する場合があります。商品の知名度が低く、情報が少ないといくら良い商品であってもユーザーは購入するのに二の足を踏みます。特に自社で直販せずに、小売店などを通じて商品を販売しているメーカーの場合、小売店の棚に自社の商品を置いてもらう、消費者が陳列されている商品から自社の商品を選ぶためには知名度は重要な要素となります。
例えば、課題解決型のメディアを運営することにより、自社の商品名やサービス以外の検索キーワード経由で集客、ユーザーに悩みを解決すると共に自社の商品を簡単に紹介することにより商品の知名度を向上させるといった手法が考えられます。

ブランディングが目的の場合

オウンドメディアは会社や商品のブランディングにも役立ちます。サイボウズのサイボウズ式やメルカリのメルカンはその典型的な例だといえるでしょう。
メディアによるブランディングにおいてポイントとなるのは、売上アップだけではなく採用や組織づくりにも活用できることです。また、ブランディングを主目的にするのであれば、アクセス数やPV数などのどれだけリーチしているかを計る数値をKPIとせずに、ユーザーのリピート率や平均PV数のようないかにユーザーがメディアを読み込んでいる、リピートしているかを計る指標に気をつかうべきです。

新規ユーザーの確保が目的の場合

新規ユーザーの確保についてもオウンドメディアは有効なツールとなりえます。例えば、比較サイトのようなサービスにとってメディアは安価にユーザーを集める手法としてよく採用されています。
ただし、新規ユーザーを獲得していきなり商品の購買に至るというケースは少ないので例えばメルマガやLINE登録者を増やすことを目標にして、その後の営業方法は別途準備するといったように、新規ユーザー獲得から売上になるまでの一連の過程は設計しておくべきです。

商品開発・販売のヒント収集が目的の場合

オウンドメディアには商品開発・販売のヒントに役立つ情報が集まります。例えば、アクセスが集中しているコンテンツ、流入キーワードにはユーザーの悩み・商品開発に関するヒントが隠れていますし、販売する際の商品の見せ方の参考にもなります。
ただし、これらのデータを分析、品質を担保するためには一定以上のサンプルが必要になるのである程度のPV数が確保されたうえで、SEO対策が十分なことが条件になります。メディア運営の初期にはこのような目標は難しいかもしれませんが、一定以上のメディアに成長すれば、そこから商品開発・販売のヒントを見つける仕組みづくりもした方が良いでしょう。

オウンドメディア戦略は目的を基本にして決定される

どの目的を選択するかによってオウンドメディアのコンテンツ作りやKPIの管理手法など運営に関わるさまざまなことが変わります。よって、メディアを構築する際には第一に目的を明確にすることが重要です。
「知名度の向上」「ブランディング」「新規ユーザーの確保」「商品開発・販売のヒント」がよくある目的ですが、例えば知名度の向上、新規ユーザーの確保の両方を目指すといったように複数の目標を両立させることも可能です。